家族

隣の家。老人が死んだようだ。窓際の布団の上でジュワッと溶けていたらしい。遺体を処理する業者がせかせかしている。もう跡形しか残っていない老人をひと目見たいとの情愛を示す人間はいなかったんだろう。
老人は実はカラダの溶ける宇宙人だったのではないか?と息子が言う。宇宙人だからってカラダが溶けるとは限らないのだと答えると、息子はつまらなそうに炒飯を食べた。炒飯には刻まれた段ボールが入っていてパラパラしている。明日はガムテープのサンドイッチです、と妻からの予告あり。布ですか、紙ですかと愛犬マルチーズが質問するも会見は終了した。

得意料理
段ボール炒飯
サンドイッチ(ガムテープ・養生テープ・ビニールテープ)
焼き糊
ざる紐
酢豚(パイナップル入り)