息子

デジタルネイティブは2時間で成果を出す。
説明書なんかいらない。楽しんでやる。身に付く。
そのように習得された諸々のスキルたちは
もしかしたらいつか何かの役に立つかもしれない。
でも役に立たなくてもいい、別に。

懐中電灯は備蓄用のリュックの脇に挿さっていた。
宇宙人は部屋の端の昔のおもちゃ箱の中から出てきた。
うちには物と謎の元気だけは有り余っているから、
様々なものを繋げて勝手に何かをやるんさ。

隣の家の老人は会うと話を挨拶だけはしてくれたんだと
結局誰にも伝えていない。
そんな必要は一度もなかったし、これはごく個人的な問題。
ごく個人的に弔ってだんだんに忘れていく。
遊びに飽きるように。