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息子
デジタルネイティブは2時間で成果を出す。 説明書なんかいらない。楽しんでやる。身に付く。 そのように習得された諸々のスキルたちは もしかしたらいつか何かの役に立つかもしれない。 でも役に立たなくてもいい、別に。 懐中電灯は備蓄用のリュックの脇に挿さっていた。 宇宙人は部屋の端の昔のおもちゃ箱の中から出てきた。 うちには物と謎の元気だけは有り余っているから、 様々なものを繋げて勝手に何かをやるんさ。 隣の家の老人は会うと話を挨拶だけはしてくれたんだと 結局誰にも伝えていない。 そんな必要は一度もなかったし、これはごく個人的な問題。 ごく個人的に弔ってだんだんに忘れていく。 遊びに飽きるように。
詩集は持ち運ぶことができる。じゃあ演劇はどうすることができる?

049
私は、あの人に話しかけなかった。かつて一度も。
でも、本当にそんなことが大切なんだろうか。私が、あの人の姿を見た。それだけで対話はもう成立しているんじゃないだろうか。それはスクリーンやテレビ画面やパソコンモニタを媒介してだけれど。ある目が、視覚像と音声を捉えた。それによって、わたしの内分泌の組成が一瞬だけでも変わった。体温が微かにあがって、脈拍が少し早くなったかもしれない。足の裏に汗をかいたかもしれない。それだけで交流は、対話はもう成立しているんじゃないだろうか。

ima
クロワッサン / 眠られぬ夜
朝聞いた鳥の音を
思い出すみたいに
とりとめもなく
君の話を
聴いていたかった
朝が来ないのでは
意味がないのに
思い出すみたいに
とりとめもなく
君の話を
聴いていたかった
朝が来ないのでは
意味がないのに
かつてのパン屋は
ずいぶん遠かった
手狭な店のなかで
あかるく挨拶する
幸せそうな人から
パンを買った
あの日のこと
ずいぶん遠かった
手狭な店のなかで
あかるく挨拶する
幸せそうな人から
パンを買った
あの日のこと
クロワッサンには
幾つもの層があり
お皿の上に点々と
広がった
こぼれ落ちた滓を
勿体ないとばかり
拾いあげていた
幾つもの層があり
お皿の上に点々と
広がった
こぼれ落ちた滓を
勿体ないとばかり
拾いあげていた
鳥の音も君の声も
だいぶ遠くなって
それで静かなのか
窓から差し込んだ
わずかなひかりに
目のしばたく
三日月の夜
だいぶ遠くなって
それで静かなのか
窓から差し込んだ
わずかなひかりに
目のしばたく
三日月の夜
牛とカエルのぬいぐるみで不条理コントをする人

